今回はWordPressでWeb制作をする際に出てくる「タクソノミー」「ターム」「カテゴリー」「タグ」の違いについて解説します。
この4つの単語は似ているので紛らわしいと感じる人もいると思います。
今回は一つずつ深掘りして違いを明確にし、実際に使用する場面を考えながら理解を深めまていきましょう。
違いを一覧で確認しよう
まずは違いを一覧で確認して全体像を掴みましょう。

違いを一つずつ深掘りしよう
タクソノミーとは
タクソノミーは「taxonomy」と書き、分類を意味する英単語です。
WordPress Codex にはこのように記載されています。
WordPress では、「分類(タクソノミー)」は投稿(またはリンク、カスタム投稿タイプ)をグループ化するための仕組みのことです。
カスタム分類 – WordPress Codex 日本語版(2023年アーカイブ)
例えば、スポーツを扱うWebサイトの新着情報を閲覧する際、たくさんの競技がごちゃ混ぜの状態だと興味のある競技の記事を探すのは少し手間ですよね。
その時、
- 野球
- サッカー
- バレー
- バドミントン
- 卓球
- 陸上
上記のように競技別で分けてあると記事を探しやすいと思います。
このように項目を分けて分類する仕組みのことをWordPressでは「タクソノミー」と言います。
タームとは
タームは「term」と書き、「定められた条件や項目」という意味を持つ英単語です。
WordPress Codex にはこのように記載されています。
動物の「鳥」「魚」と言う項目がタームだと言うことがわかりやすく記載されています。
分類内のさまざまなグループ名を「terms(項目)」 と呼びます。 動物のグループ化を例に取ると、あるグループを「鳥」、別のグループを「魚」と名づけるでしょう。 「鳥」や「魚」は、分類内の項目です。 WordPress の例で言うと、あるカテゴリーやタグ(次の項目を参照)が項目となります。
カスタム分類 – WordPress Codex 日本語版(2023年 アーカイブ)
タクソノミーの説明で例にしたスポーツを扱うWebサイトで言うと、
- 野球
- サッカー
- バレーボール
- バドミントン
- 卓球
- 陸上
上記の項目ひとつひとつがタームということになります。
このように分類された項目のことをタームと言います。
カテゴリーとは
カテゴリーとは、WordPressを設置した時(デフォルト)からある「投稿」に付随した分類方法(タクソノミー)です。

カテゴリーも分類なので、タクソノミーです。
カテゴリーの特徴は、階層構造にできるということです。
このことから、「タクソノミーの中で、標準で用意されているもので(階層構造あり) = カテゴリー」と言う認識で良いと思います。
タグとは
タグは SNS(例:X(旧Twitter))で使われるハッシュタグのようなものと考えるとわかりやすいでしょう。
こちらもカテゴリーと同様にWordPressを設置した時(デフォルト)からある「投稿」に付随した分類方法のタクソノミーです。

カテゴリーと違う点は、階層構造を持たないという点です。
このことから、「タクソノミーの中で、標準で用意されているもので(階層構造なし) = タグ」という認識ができるかと思います。
実際どのように使うの?
これまで「タクソノミー」「ターム」「カテゴリー」「タグ」の言葉の違いについて説明してきました。
では、実際にWordPressでWebサイトを作成する際にどの場面で使用するのでしょうか。
基本は「投稿」で使う
WordPressを立ち上げた時点からある「投稿」にはあらかじめ「カテゴリー」「タグ」が用意されています。
「カテゴリー」「タグ」はタクソノミーの一種でしたね。
なお、「固定ページ」には「カテゴリー」「タグ」はありません。
「固定ページ」はページ間に親子関係の構造を持つことができます。
カテゴリーの使用例
カテゴリーは、サイトの構造を明確にするために 使われます。
先程の例で示したように、スポーツに関するWEBサイトの記事をジャンルごとに階層設定することで、記事の属する分野や位置付けが視覚的にわかりやすくなります。
このように、「ターム」に副項目を作成して、よりわかりやすくグループ分けすることができます。
- 野球
- セ・リーグ
- 巨人
- ヤクルト
- パ・リーグ
- セ・リーグ
- サッカー
- J1
- J2
例えば、これを利用してパンくずリストを作成すると、
ホーム > 野球 > セ・リーグ > 巨人
のように、読者がいま自分がどのジャンルに属する記事を読んでいるのかがすぐにわかる、というメリットがあります。
これらのことから、1つの記事にカテゴリーは1つが基本となります。
※ 複数のカテゴリーを選択できますが、ワードプレスとして1つがメインカテゴリーとして扱われます。
タグの使用例
一方、タグは内容に関連するキーワードを自由に追加するためのものです。
階層を持たない仕組みで、複数のタグを記事に自由につけることができます。
これまでのスポーツの例で言えば、
- 野球の記事 → タグに「試合結果」「選手インタビュー」
- サッカーの記事 → タグに「試合結果」「戦術解説」
このように、ジャンルを超えて共通する話題や切り口をタグで横断的に整理できるのがポイントです。
読者は「試合結果」というタグをクリックするだけで、
野球・サッカー・バレーすべての試合結果記事を一覧で見ることができる、といった導線づくりが可能になります。
これらのことから、1つの記事にタグは複数設定が基本となります。
専用の関数で実装する
少し技術的な視点からも解説します。
「カテゴリー」「タグ」は投稿と同様にWordPressを立ち上げた時点から管理画面に表示されている言葉で、専用の関数も用意されています。
カテゴリー専用の関数の一例
- the_category()
- get_the_category()
- get_the_category_list()
タグ専用の関数の一例
- the_tags()
- get_the_tags()
- get_the_tag_list()
上記のことから、「カテゴリー」「タグ」は「タクソノミー」の一種ですが、WordPressを立ち上げた時点から「タクソノミー」の名前を「カテゴリー」「タグ」として階層構造の有無で分けて用意してあり、使用しやすい便利な関数もあるということがわかります。
次は、独自の投稿タイプを作成する際に登場する「カスタム投稿」や「カスタムタクソノミー」について説明します。
カスタム投稿タイプを作成した場合
カスタム投稿とは?
WordPressでは、WordPressを立ち上げた時点にはない、カスタム投稿(新しい「投稿タイプ」)を作成することができます。(作成方法は下記の記事を参考にして下さい。)
例えば、スポーツに関するWebサイトを運営している場合、最初は「投稿」だけであらゆるスポーツの記事を管理していたとしても、記事が増えてくると次第に競技ごとに記事を整理したくなる場面が出てきます。
そのような時に「野球」や「サッカー」ごとに新しくカスタム「投稿」を作ることができます。
WordPressの管理画面で「野球」「サッカー」それぞれ「投稿」と同じようにメニューに表示されるようになります。

カスタムタクソノミーとは?
これは「投稿タイプ」を新しく作成したのと同じように、「カテゴリー」や「タグ」といった「タクソノミー」も カスタムタクソノミー(新しい「タクソノミー」) を作成することができます。
カスタム「投稿」を自作した場合、その「投稿タイプ」に「タクソノミー」を利用する方法は、
- 既存の「カテゴリ」「タグ」を使用する方法と、
- 「カスタムタクソノミー」を作成して使用する方法
の2つの方法があります。
カスタムタクソノミーの使用例
「カテゴリ」「タグ」を使用する場合についてはデフォルトの投稿で使用する場合と同じです。
では、なぜ新たに「カスタムタクソノミー」を作成する必要があるのでしょうか?
例えば、「野球」というカスタム投稿タイプを作ったとします。
その中に、チームやリーグで分類したい場合、「カテゴリ」に「セ・リーグ」や「巨人」が用意されると思います。
- 「野球」の投稿タイプ
- セ・リーグ
- 巨人
- ヤクルト
- パ・リーグ
- セ・リーグ
次に、「サッカー」というカスタム投稿タイプを作ったとします。
その中には、「J1」や「J2」が用意されると思います。
- 「サッカー」の投稿
- J1
- J2
このようにした場合、投稿タイプと使用する「カテゴリ」の関係は以下のようになります。
投稿タイプ | 使用するカテゴリー |
---|---|
野球 | セ・リーグ、巨人、J1、J2 など |
サッカー | セ・リーグ、巨人、J1、J2 など |
上記を見るとわかりますが、「野球」でも「サッカー」の投稿でも同じ「カテゴリ」が共有されてしまうため、
- サッカーの投稿なのに「セ・リーグ」や「巨人」のカテゴリが選べる状態になる
- 逆に、野球の投稿なのに「J1」や「J2」も入ってきてしまう
といった不自然で管理しにくい状態になります。
このような場合に投稿タイプごとに適切な分類を設定できるようにするのが、「カスタムタクソノミー」になります。
投稿タイプ | カスタムタクソノミー |
---|---|
野球 | セ・リーグ、巨人 など |
サッカー | J1、J2 など |
専用の関数で実装する
カスタムタクソノミーの場合も「カテゴリ」「タグ」と同様に関数が用意されています。
タクソノミー専用の関数の一例
- the_terms()
- get_the_terms()
- get_the_term_list()
「term」や「terms」とはいっているのでわかると思いますが、項目に関することを取得または出力する関数です。
上記の関数はタクソノミーに使用できる関数なので、タクソノミーの一つである「カテゴリー」「タグ」も使用することができます。
「カテゴリー」「タグ」専用の関数と比較しての違いは、タクソノミーのスラッグを指定する必要があることくらいでしょうか。
もし、Webサイトを制作する上でカスタムタクソノミーをたくさん(3、4つ以上)使用する場合、「カテゴリー」「タグ」もタクソノミー専用の関数で記述した方が、記述方法が統一されてメンテナンス性が上がるかもしれません。
まとめ
最後に、今回登場した用語を含め、簡潔に整理しておきます。
用語 | 意味 | 具体例 | 備考 |
---|---|---|---|
タクソノミー | 分類方法の名前 (仕組みのこと) | ||
ターム | 分類項目 (具体的な値) | 「巨人」「J1」など | |
カテゴリー | 標準のタクソノミー(階層あり) | 野球 > セ・リーグ > 巨人 | 1記事に1つが基本 |
タグ | 標準のタクソノミー(階層なし) | #試合結果 #分析 #解説 | 1記事に複数が基本 |
投稿、固定ページ | 標準でついている投稿機能 | 「投稿」「固定ページ」 | 固定ページにはタクソノミーがありません。ただし、カスタムタクソノミーの適用は可 |
カスタム投稿タイプ | 投稿の自作 | 「野球」「サッカー」 | 投稿・固定ページ以外の情報を独立管理 |
カスタムタクソノミー | 独自に作成したタクソノミー | 「巨人」「J1」などなど | 投稿タイプに合わせて自由に定義 |
今回はWordPressでWeb制作をする際に出てくる「タクソノミー」「ターム」「カテゴリー」「タグ」さらに「カスタム投稿タイプ」や「カスタムタクソノミー」の違いについて解説しました。
WordPressは柔軟にできており、実は「カスタムタクソノミー」は「カスタム投稿」に限らず、標準の「固定ページ」や「投稿」タイプにも適用が可能です。
「固定ページ」は標準ではタクソノミーはありませんが、カスタムタクソノミーを作れば適用させることは可能です。
この柔軟さと、聞き慣れないワードが難しく感じる要因になるのですが、言葉の意味と関係性さえ整理すれば、それほど難しいものではありません。
また、スポーツや野球を例にしたので分野に馴染みのない方には少し抽象的に感じられたかもしれません…
ですが、これらの用語は構造を理解するうえで非常に重要な要素です。
なんとなく似ている言葉なので、なんとなくで覚えていると、いざ実装する時に意味を間違えて誤解や設計ミスにつながることもあります。
ぜひこの機会に整理して覚えておくことをおすすめします。
WordPressを使用したWebサイト制作では投稿にまつわる実装は必須だと思うので、しっかりと理解して臨みましょう。
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